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2025年11月17日 (月)

軽自動車の衝突安全基準は甘いってホントですかね

「軽自動車の衝突安全基準は本邦独自のもので、基準が甘く世界には通用しない」なんてこと言う方をよく見かけます。例えば、「側面衝突試験に使う台車の重量は1,300kgが世界の標準だが、軽自動車は950kgで試験をしていて、衝突の対象が軽自動車を想定している。甘い基準で試験をしている軽自動車は危険。」てな具合です。
この話、ホントですかね?

日本の保安基準において、衝突安全基準に関してはUN Regulation(国際規則)に準拠しています。保安基準の"側面衝突時の乗員保護に係る基準"はUN Regulation No,95(UN-R95)に該当します。このレギュレーションの適用範囲は下掲の画像の通りで、軽自動車と登録車を区別していません。軽自動車と登録車のどちらにも同じ規則が適用されます。
Unr95_01 (クリックで拡大表示)

UN-R95の2023年版によれば、台車(移動式変形バリヤ)の質量は950±20kg。試験速度は時速50±1kmとなっています。これがUN Regulation(国際規則)で定められた試験の条件です。保安基準はこれに準拠していますので、型式指定を取得するための認証審査は、この条件で試験をしないと不正とみなされてしまいます。1,300kgの台車を使った試験データでは、国交省に通用しないことは皆さんご存じの通り。
Unr95_02 (クリックで拡大表示) 
Unr95_03 (クリックで拡大表示)

Unr95_04 (クリックで拡大表示)

さて、ここまでは保安基準の話なので、試験の対象となるのは基本的に発売前の試作車両ですが、衝突安全性能を確認するための試験というと、Euro NCAPやJNCAP、U.S.NCAPなどの"新車販売されている自動車を対象としたもの"の方がよく知られているでしょう。
では、本邦の自動車アセスメントであるJNCAPは側面衝突に関してどんな試験をしているでしょうか。

_01 (クリックで拡大表示)
試験の適用範囲は、UN Regulationと同様に軽自動車と登録車を区別していません。軽自動車も登録車も同じ試験を行います。
JNCAPの場合、台車(移動式変形バリヤ)の質量は1,300±20kg、試験速度は時速55±1kmです。
_02(クリックで拡大表示)
_03 (クリックで拡大表示)
Jncap_2020_02 (クリックで拡大表示)

以上がファクトです。
繰り返しになりますが側面衝突安全性能試験の方法に関して、軽自動車と登録車に差はありません。どちらも同じ条件で試験を行います。条件の違いは、試験がUN Regulation(国際規則)かJNCAPかによるものです。
軽自動車が甘い基準で試験をしている事実はなく、軽自動車といえども試験の内容は登録車と一緒です。だからといって、軽自動車は絶対に安全だなどとは言いいませんが、少なくとも登録車と同じ基準の試験をクリアしていることは間違いなく、稀な例の事故を引き合いに出して、殊更軽自動車を危険視する必要はないと私は考えます。 
軽自動車が嫌なら乗らなければいい。
ただそれだけのことです。

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