【ホンダ】ボンネットにバルジか設けられた本当の理由【S800】
本来、S800は私の守備範囲外のクルマなので、これまで敢えてスルーしてきたのですが、毒吐きついでにS800のボンネットバルジに関する誤った通説を、一刀両断にぶった切っておこうと思います。
S800のボンネットバルジに関しては、現在「採用予定だった機械式インジェクションとの干渉を避けるために設けられた」という説が広く流布していることは皆さんご存知の通り。
でも、この通説は全くの出鱈目で事実ではありません。
では、あのバルジは何故設けられたのか?ということになりますが、その理由はバルジをデザインした張本人である岩倉信弥氏が、↓こちらで公開されている氏のコラムで詳しく述べられています。
本田宗一郎との叱られ問答 第5話 「200ccの見せ方」 (2007年2月公開)
または、↓こちらの資料にも同様の記述があります。
(※ ページ下部にあるPDFファイル(リンク)の7~8ページ)
詳しくはコラムやPDFファィルを読んで頂くとして、コラムの内容を三行にまとめると以下のようになります。
・S600のマイナーモデルチェンジにあたり、設計部門からは「外板はいじるな」ときつく釘を刺されていた。
・にもかかわらず外板をいじったのは、本田社長から「ボンネットに何か特徴が要るねぇ(ジロリ)」と暗黙の要求があったため。
・設計の担当者からボンネットバルジは意味のない変更だと散々非難された。(実際にバルジは意味ありげなだけで機能的な意味合いはなかった)
ということで、岩倉氏のコラムには機械式インジェクションの機の字も出てこないどころか通説とは全く間逆で、設計からは外板をいじるなときつく釘を刺されていた、というのが真相です。(通説が事実であれば、設計からボンネットの形状変更を求めるリクエストがあったはずですよね)
機械式インジェクションの話がどこから出てきたのかは私には分かりませんが、S800のボンネットバルジをデザインしたご本人の証言を否定、あるいは覆せるエビデンスを見つけることはまず不可能でしょう。
つまり、ボンネットバルジの「機械式インジェクション回避説」の信憑性はゼロということです。
(結論)
S800のボンネットバルジは、本田社長の要求によって岩倉氏がデザインしたもので機能的な意味合いはなく、外観上の特徴を得るために設けられたものでした。
S800のボンネットにバルジか設けられた本当の理由、お分かり頂けたでしょうか。
S800のボンネットにバルジか設けられた本当の理由、お分かり頂けたでしょうか。
(2016.07.26 追記)
余談ですが、せっかくエスハチを取り上げましたので、もうひとつネタを投下しておきます。
S800の発表は1965年に開催された「第12回 東京モーターショー」に於いて、というのが定説になっていますが、実際にS800の発表が行われたのはショーの数日前でした。(↓)
(クリックで拡大表示)残念ながら発表会が行われた正確な日時は分かりませんが、第9回全日本自動車ショー(1962年( 昭和37年)10月25日〜11月7日開催)に出展されたスポーツ500、スポーツ360、T360の発表会が行われたのは、ショーが開催される5日前の10月20日(場所はホテルオークラ)でしたから、S800(や同時に参考出品されたN800)の発表会も同様にショー開催の5日程度前に行われたものと推察されます。
ということで、S800は第12回 東京モーターショーに先立って行われた発表会に於いて発表された、というのが正確な史実になります。
まあ、固定観念に囚われて古い誤った情報に拘泥する方達にはどうでもいい情報でしょうけれど、ちょっとだけお節介をやかせて頂きました。
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