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2020年2月26日 (水)

【Old-timer】公開校閲その1【171号】

本日発売のオールドタイマー誌171号は巻頭がホンダ特集ということで、早速購入して読みました。
内容について気づいた点が多々あったので、徒然なるままにブログという公の場で公開校閲をしたいと思います。
当方の校閲に誤りがあれば、遠慮なくコメント欄にて指摘をお願いします。

まずは25ページ左上の、本田社長の写真のキャプション中に「運輸省認定時は492ccであったが…」と、S500の認証取得時のエンジン排気量を492ccとしていますが、正確には531ccです。
492ccというのは、1962年開催の第9回全日本自動車ショーに出展された、ナローボディのスポーツ500に搭載されたエンジンの排気量です。
スポーツ500/S500のエンジンの仕様には、当方が知るかぎり大別して以下の4つがありました。

・ボア52mm×ストローク58mm 492cc 40HP/8,000rpm :1962年製造、技研製自動車ショー出展車(ナローボディ)
・ボア52mm×ストローク59mm 501cc 40PS/8,000rpm :1963年製造、技研製ワイドボディ車(アメリカテスト車や54号車など)
・ボア54mm×ストローク58mm 531cc 44PS/8,000rpm :1963年製造、浜松製量産試作車(型式認証取得車)
・ボア54mm×ストローク58mm 531cc 47PS/8,500rpm :1963年8月14日開催メディア向け試乗会の試乗車(カムプロフィールを変更した出力向上型)


続いて26ページ下段に木村昌夫氏の「エンジンブロックや部品表面を電気ペンで溶かし選手名を漢字で書き込んでいました。これは日常的に行われていたんです。」との証言があり、この前段には「島崎選手車両も一部変更後、ニュル予備車として欧州に送った記憶があります。」との証言もあります。

27ページから始まるニュル車検証記事で、S600レーシングの里帰り車をニュル優勝車として紹介していますが、この里帰り車のエンジンブロックには、電気ペンで「島崎  お」と書き込まれています。(↓)
木村氏の証言が正しければ、島崎(貞夫)車 = ニュル予備車となります。
200226_s600r_shimazaki2 (クリックで拡大表示)
1964年開催の東京モーターショーに展示された車両は、車体の傷や汚れなどのディテールの特長からニュル500kmレース優勝車と考えられ、イギリスに留め置かれた車両(里帰り車)は予備車である可能性が高く、木村氏の証言は私の推理と全く矛盾しません。
当時の関係者の証言と物証は見事に一致したと言えるでしょう。
そもそもOT誌は、何を根拠に里帰り車をニュル優勝車と断定したのでしょうか。その理由を是非とも明らかにして欲しいですね。

参考までに、第2回日本GPに出場したホンダワークスのメンバーは以下の通りです。

<第2回日本グランプリ自動車レース>
GT-Ⅰ 1964/04/29~1964/05/02

#10 ホンダS500 中条 健之助 18位
#11 ホンダS500 F.マンレイ 17位
#12 ホンダS500 山下 護祐 14位
#14 ホンダS500 田中 禎助 9位
#15 ホンダS600 R.バックナム 1位
#16 ホンダS600 島崎 貞夫 3位
#17 ホンダS600 永松 邦臣 7位
#18 ホンダS600 伊藤 修策 8位
#19 ホンダS600 古我 信生 6位
#20 ホンダS600 漆山 伍郎 4位
#21 ホンダS600 北野 元 2位

レースの公式リザルトはJAFのウェブページで閲覧できます。
http://www.jaf.or.jp/CGI/msports/results/n-race/detail-result.cgi?race_id=1447&window_flg=1

200226_hondas600_gp-japan1964 (クリックで拡大表示)

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コメント

里帰り車をニュル予備者であるとは、私の知り合いも言ってました。私は詳しくないので根拠は分かりませんが、雑誌が間違いなんでしょうね。
雑誌のように全国に広まり紙媒体で残る物が明らかな間違いを書くと後世に残ってしまうので、きちんと検証して欲しいですね。

投稿: スポーツ800 | 2020年2月27日 (木) 午前 08時11分

>スポーツ800さん
コメントありがとうございます。
S600レーシングの里帰り車については、昔々のCG誌に吉田匠氏による検証記事が掲載されていて、実車を見分したり中村良夫 さんに取材したりしましたが、優勝車であるかどうかは分からず仕舞いでした。
2011年に三栄書房から出版されたエスに関するムック本にも、里帰り車の検証記事が掲載されていますが、里帰り車が優勝車である確証は得られていませんし、オーナーさんも「ホンモノかどうか分からない」と同誌で語っています。
私も状況証拠からの推測で予備車と判断していますが、ホンダにも資料などは残っていないようで、決定的な証拠となるようなものは見つかっていないはずです。
それなのに、今号のOT誌では「ニュルブルクリンク優勝車を検証する」ときたものですからビックリしました。
ひとつ前の記事(ページ)には、当時ワークスS600の開発に関わられた木村昌夫さんの証言が掲載されていて、その内容が上のエントリー本文にあるように「里帰り車=予備車」を証明するような内容なのですから、苦笑いするしかありません。
でも、仰るように一度活字になってしまうとそれを取り消すのは事実上困難で、後世に誤った情報が伝わってしまいますから、笑ってる場合ではないですね。
今号のOT誌では、他にも首を傾げたくなるような記述がいくつもあるので、きちんと反証を示したうえで誤りを指摘したいと思います。

投稿: mizma_g@管理人 | 2020年2月28日 (金) 午前 12時10分

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