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2014年10月15日 (水)

ある一時期だけ造られたS500(量産試作車)

毎日グラフ'63年12月1日号にカラー写真が掲載されているS500(量産試作車、以下 量試車)は、「一時期しか作られなかった非常にレアなモデル」と先日アップしたエントリーに書きましたが、その理由を説明しようと思います。

毎日グラフ誌のS500量試車が何故レアなのか、その理由ですが、下掲の画像を見て頂くと分かるように、フロントウインドウフレームの鍍金モールの角がR処理(曲線)になっているんです。(ブレた写真じゃよく分からん!とクレームがつかないように、ブレていない写真も添付しておきました ^^;)
As280_00 (クリックで拡大表示)

こんなホンダスポーツ或いはエスは、他にありませんよね?
S600やS800のことは不案内でよく分かりませんが、少なくともスポーツ360(TAS260型)から市販型のS500まで見渡しても、このような仕様の車輌は他に見当たりません。
したがって、非常にレアなモデルと書いた訳です。
それでは、この丸角の鍍金モールが使われた車輌はいつ頃造られたのか、ということになりますが、これは正直なところよく分かりません。
ただ、大雑把に言うと、1963年(昭和38年)の晩夏から秋頃にかけてかなぁという感じです。
私が晩夏から秋頃と推測する理由は、下掲の試作車の変遷をまとめた画像をご覧頂くと理解して頂けると思います。
ちょっと画像の数が多いので見るのは大変かと思いますが、頑張ってエントリーを作成しましたので、皆さんも頑張ってお目通し頂ければと思います。

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As280_01 (クリックで拡大表示)
この写真は1963年5月5日に鈴鹿サーキットで撮影されたものです。
ご覧のように、フロントウインドウフレームの鍍金モールの角は角型です。
この車輌は、スポーツ360をベースに製作されたものと考えられ、その証拠に12インチのタイヤ/ホイールが装着されています。
ホイールキャップも、よく見ればスポーツ360と全く同じデザインのものが使われています。
ボンネットは、スリットがないタイプです。


As280_02 (クリックで拡大表示)
これは、アメリカで宣材写真の撮影やテストに供された車輌で、製作されたのは1963年5月~6月頃と考えられます。
この車輌も鍍金モールの角は角型です。
この車輌のタイヤ/ホイールは13インチで、ホイールキャップもスポーツ360とは少し違うデザインのものが装着されていますが、素性は上の車輌と同じではないかと私は推測しています。
ボンネットにスリットはありません。


As280_03 (クリックで拡大表示)
この車輌は浜松製作所(量産工場)で製作された最初のスポーツ500です。
写真の撮影日は1963年6月17日。
この車輌も鍍金モールの角は角型です。
この車輌のホイールは、よく見ると4穴ですね。
この画像を見れば分かるように、浜松製作所でのスポーツ500の生産は6月から始まっていたはずですが、浜松製作所の生産実績台帳に6月の生産記録はありません。
・・・なんで?


As280_04 (クリックで拡大表示)
この車輌は、スポーツ500の価格当てクイズの時に頻繁にメディアに登場した広報車で、1963年7月頃に製造されたと思われます。
おそらく、浜松製作所で製造された量試車でしょう。
この車輌も鍍金モールの角は角型です。


As280_05 (クリックで拡大表示)
これは、1963年8月14日に荒川テストコースで行なわれた、プレス向け試乗会で試乗に供された車輌です。
写真の撮影日は、当然の事ながら1963年8月14日。
ご覧のように、鍍金モールの角は角型ですね。
この車輌(車体色がゴールドでデラックス仕様)は、試乗会の時、おろしたての新車だったと当時の雑誌記事に書かれています。


As280_06 (クリックで拡大表示)
1963年9月から、鈴鹿サーキットでスポーツ500のレンタルが始まりました。
これは、その時に作成されたパンフレットに掲載されている写真です。
写真に写っている車輌の鍍金モールの角は角型ですね。
写真の撮影時期は不明ですが、右端の女性の服装が明らかに夏物であることから、1963年8月~9月頃と推測してみました。


As280_07jpg (クリックで拡大表示)
この車輌は前回のエントリーにもアップしましたが、1963年10月10日に鈴鹿サーキットで開催された、第一回日本GP ロードレース世界選手権で使用されたものです。
ここでようやく、鍍金モールの角が曲線のタイプの車輌が出てきました。
この車輌が製作されたのは、10月10日よりも前なのは確実ですね。
で、荒川試乗車の新車が角型ですから、これよりも後と推測するのが自然かと思います。
とすると、丸角の鍍金モールが使われた車輌が製造された時期は、8月14日以降10月10日以前の何れかの日、ということになるかと思います。


As280_08 (クリックで拡大表示)
これは、1963年10月26日から開催された第10回全日本自動車ショーに出展された車輌です。
自動車ショーには、屋内で展示された車輌と屋外で走行を披露した車輌があったのですが、写真で確認できた全ての出展車輌は“角が角型の鍍金モール”でした。


As280_10 (クリックで拡大表示)
この写真は、鈴鹿試乗車のカラー写真と同じく、毎日グラフ'63年12月1日号に掲載されています。
ご覧のように、丸角の鍍金モールが使われています。
写真の正確な撮影時期は分かりませんが、毎日グラフ誌の発行日(12月1日)よりも前なのは確実でしょうね。
発行日は12月1日ですが、実際の発売日はおそらく11月中だったと考えられ、取材日はさらにそれより以前ということになりますから、写真の撮影時期は10月頃かなと思ったのですが、それにしてはドライバー(故 伊丹十三氏。当時の名前は伊丹一三)の服装が防寒仕様になっているので、11月の線もあるかな…と考えています。
この車輌ですが、取材時のオドメーターの表示は216kmで、ほぼおろしたての新車でした。
ということは、車輌の製造日は取材日に近かったはずですから、10月~11月頃の製造ということになるかもしれません。

 
As280_11 (クリックで拡大表示)
最後は、1964年1月22日に鈴鹿サーキットで開催された、販売店関係者向けの試乗会で撮影された写真です。
よく見ると、丸角の鍍金モールが使われていると思しき車輌も確認できますが、大部分の車輌には角が角型の鍍金モールが使われています。
この角型の鍍金モールが使われている車輌のインテリアが写っている写真を見ると、シートにはビニールが掛かっていました。おそらく新車だったのでしょう。
しかも、フロントグリルは量産タイプのものが装着されています。
そんな訳で、このおびただしい数のS500は、外観は毎日グラフの鈴鹿試乗車とよく似ていますが、中身は別物で、より市販型に近くなった試作車、或いは時期的に市販型の車輌そのものだったのかもしれません。

写真はアップしませんが、1964年2月1日にS500が全国一斉発売された後、一般ユーザーの手に渡った市販型のS500には、角が角型の鍍金モールが使われていました。
丸角の鍍金モールが使われていたのは、以上のように日本GP車伊丹取材車で、推定の製造時期は夫々、「8月14日以降10月10日以前の何れかの日」と「10月~11月頃」なので、丸角の鍍金モールが使われたレアなモデルが製造されたのは晩夏から秋頃と推測した次第です。
あっ、カラー写真の鈴鹿試乗車を忘れていましたね。
鈴鹿サーキットでスポーツ500のレンタルが始まったのは9月からでしたから、鈴鹿試乗車が製造されたのは、それより少し前くらいと推理できそうです。
この推理がもし正しければ、晩夏頃の製造ということになりますから、前出の2台と製造時期は一致しますね。
不思議なのは、自動車ショーの出展車に角が角型の鍍金モールが使われていたことで、ここは時期的に丸角の鍍金モールでしょう!と思うのですが、然に非ずだったのは何か理由があったのでしょうね。
その理由は、私には分かりません。
もし分かる方がいたら、是非教えて下さい。

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