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2013年7月28日 (日)

【フェアレディZ】ビーム定規とマグネシウムホイール【S30Z】

初代フェアレディZ(以下、S30Zと表記)のエクステリアを手掛けられた田村久米雄さんから、細谷さんの回想録を読んだ感想と、S30Zのマグネシウムホイールに関するお話を寄せて頂きましたので、以下に掲載します。

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トヨタ2000GTの細谷四方洋さんのお話、非常に興味深く拝見しています。
線図を描く時にビーム定規(日産でもバッテンと呼んでいました)をバランス・ウエイトで挟んだり、抑えたりしてカーブを創って作業したことを思い出しました。
入社時からA550Xの開発でヤマハの板金職人のレベルが非常に高いものだったと先輩達から聞いていました。

それとホイールに関してですが、丸Z計画でデザイン開発を進めていた’67年時点では、アルミホイールやマグホイールは鋳造技術が確立しておらず(鋳造したホイールのリム部を切削加工した後、探傷テストをすると60%が不合格で)、コスト的に量産車には採用できない、と云うのが当時の日産車体設計、車軸設計の見解で、私が一貫してセットしていたZ専用の鉄チンホイールのデザインが認められるものと思っていました。
’68年当初、スタジオの桑原君が何やらホイールのモデリングをしているようだったので聞いたら、マグホイールのデザインだとの事。
量産ではないレース用のホイールだと思っていました。
過去のZの開発に関する資料には鉄チンホイールのデザインをトライしていた形跡が有りますが、’69年のモーターショーで発表されたモデルには、特別にデザインされた鉄チンホイールは無く、乗用車のホイールカバーをアレンジして装着し、スポーツカーらしくない幅の狭いクロスプライタイヤのまま、レース用だと思っていた桑原君のデザインしたマグホイール(何と!!標準車より85万円も高額の価格設定!で、機密性に問題が有ったようで、市販車は全てチューブ入りで販売されたようです。)が装着されており、私にとって????という姿でした。
’70年になると窒素封入?の鋳造法が普及したようで、各社アルミホイールが登場するようになります。
この辺りの日産の商品計画に多いに疑問を感じました。
 

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細谷さんの回想録 その1の中に出てきたバッテンという道具は、ビーム定規というものだったようです。
日産でもトヨタでも、ビーム定規をバッテンと読んでいたのは興味深い事実ですね。
もしかたら、工業デザイン界で共通の呼称だったのでしょうか。

それと、ヤマハの板金職人のお話で思い出しました。
ヤマハの西岡幹夫さんという凄腕の板金職人を“元日産の方”と以前のエントリーに書きましたが、これは誤りでした。
西岡幹夫さんは日産とは無関係の方でした。(某旧車誌に騙された…orz)
西岡幹夫さんがヤマハに入るまでの経緯については、のち程詳しく書きますが(結構面白い話です)、取り急ぎこの場でお詫びと訂正をさせて頂きます。
間違った情報を発信してしまい、大変申し訳ありませんでした。。。

マグネシウムホイールは、60年代の時点ではまだ製造するのが難しかったみたいで、しかもコストがバカ高だったとくれば、トヨタ2000GTへの採用はかなりの英断だったと推測できそうです。
ただ、トヨタ2000GTはトヨタのイメージリーダーカーとして、ある程度コストを度外視して作られたようですから、高価なマグネシウムホイールの採用も理解できますが、トヨタ2000GTとは対極の大衆向けスポーツカーだったS30Zへの採用は、少し解せないところがありますね。
もしかしたら、レースのレギュレーションなんかが関係していたのでしょうか。

それにしても、こんな場末の泡沫ブログに、カーデザイン界のレジェンドとレース界のレジェンドのお二方から寄稿して頂けるなんて、本当に夢のようです。
旧車マニア冥利に尽きますね。
ただ、こういう状況になるのは、裏を返せばマスなメディアが正確な情報の発信をしてこなかった証左ですから、ヒストリアンとしては手放しでは喜べません。
しかしながら、詳しいことは書けませんがトヨタ2000GTに関しては、心ある方が正確な史実を後世に残すために、今後尽力して下さるので心配は無用のようです。
一方のS30Zの方は、果たしてどうなるのか…。
メディアの機動力をもってすれば、当時の関係者に片っ端から取材することで、何が真実なのか真相を確認することは可能なはずです。
きっと残された時間はそう多くないと思うので、手遅れにならないうちに、気概のあるメディアが現れて、正確な史実を後世に残してくれることを願ってやみません。

(1時間掛けて書いたエントリーが、投稿に失敗して消えてしまい、もう一度最初から書き直しました。メモ帳に下書きしなかった時に限って投稿に失敗するのはなんなのでしょうね…。)

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