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2011年10月 8日 (土)

GyaO!で配信されている『甦る フェアレディZの軌跡』について

2011/12/02 本文を一部修正&追記
2011/10/11
田村氏のコメントを追記
2011/10/10 最後の田村氏のコメントをS30Zのデザイン開発ヒストリーに関するリアルな証言に移動


無料の動画配信サイト「GyaO!」において、現在『甦る フェアレディZの軌跡』というタイトルの動画が配信されています。
もしかしたら、既にご覧になった方も多いかもしれませんが、未見の方は是非ご覧になってみて下さい。
↓こちらが動画へのリンクになります。
http://player.gyao.yahoo.co.jp/wmp/?cp_id=00909&program_id=v00022&video_id=v0000000000000000095
再生ボタンをクリックすると、下掲のようなダイアログボックスが出てきますので「はい」をクリックして下さい。
動画が再生されます。
111008_s30video (クリックで拡大表示)

で、この動画が再生されたら、00:13:21~00:23:50の部分に注目して欲しいんです。

この部分は何かと言いますと、巷間でS30Zのチーフデザイナーと称されている(実際は、第4スタジオのスタジオチーフという管理職)M氏が、S30Zの実車を使ってエクステリアやインテリアの解説をしています。
氏の解説は、真相を知らない人間にとっては非常に説得力があるものと思います。
何と言っても、氏は旧車の世界でS30Zをデザインした張本人として広く知られていますから、その解説を疑う人は恐らくいないでしょう。
そもそも、日本人のメンタリティは性善説の上に成り立っており、理由もなく他人を疑ったりしませんので、このような沢山の人が視聴する可能性がある公の場で、よもや虚言を吐くなどとは想像もしないはずです。
しかし残念ながら、S30Zのデザイン開発の現場をよく知る田村久米雄氏にとって、M氏の解説は突っ込みどころが満載のようです。

以下に動画中のM氏の解説と、田村氏に拠る指摘を掲載しますので、どちらが真相を語っているか、よく読み比べてみて下さい。
もちろん、何を信じるかは個人の自由ですから、M氏の解説を信じて頂いても構いません。
ただ、マスメディアはそうはいきませんよね。
複数の意見が対立する状況下で、特定の立場からの主張を否定もしくは肯定する意図を以って、直接的・間接的な情報操作を行なえば、それは偏向報道になってしまいますから、マスメディアはあくまでも公平中立な立場で、あらゆる情報を集めて事実を客観的に判断して正しく報道しなければなりません。
しかし残念なことに、私が仄聞したところでは、いくつかの有名な旧車専門誌は、M氏の主張だけを今後も取り上げ続けるようです。
悲しいことですがこれが現実で、日本におけるモータージャーナリズムのお寒い状況は今後も変わらないんですね。
まあ、新聞もテレビも捏造・偏向のオンパレードですから、モータージャーナリズムもご多分に漏れずということなのでしょう。
せめて当ブログの読者様だけでも、S30Zのデザイン開発ヒストリーを一面的に見ずに、M氏と田村氏、両方の主張をよく比較したうえで客観的に判断して頂ければと思います。

前置きが長くなりました。
では以下に、M氏の解説と、それに対する田村氏の指摘を掲載します。

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<動画中のM氏の解説>
・1 リアゲートのガスダンパーはフランスの戦闘機ミラージュに使われていることを知り、自分が世界で初めて採用させた。
・2 ゲートのヒンジをコンパクトに出来たのは自分の力。
・3 フェンダー全部をラウンドさせたので空力的に有利になり、運転のしやすさを実現できたことは自分の先見性。
・4 フロント・ウインドーを大きくカーブさせて空気抵抗を改善したのは自分の先見性。
・5 ウインドー周りにクロームのモールを取り付けたのは、豪華さを演出した自分の功績。
・6  インテリア・デザインでメインのメーターをドライバーの視点から離したり、3連メーターにしたり、集中コントロールレバーにしたこと、バケットシートにしたこと、チョークレバーをコンソールに移動したことなど、自分のマネージメントで実現した。
・7 フロント・グリルをクロームメッキにせず、マットなシンプルな形にしたのは自分の先見性。

<田村氏に拠る指摘>
M氏の解説は全てが事実と異なっています。
1、は確かにMさんがダンパーのことを言い出したのですが、私が自動車雑誌でイギリスかドイツのスポーツカーに細いガスダンパーが使われていることを知り、厚木自動車部品(現厚木ユニシア)を呼んで情報交換をし、第三設計に話を繋いで、当時、数100kgの大きなものしか製造していなかったのですが、数10Kgの細いガスダンパーを作るには3000本/月以上のオーダーが必要であることなどを第三設計に伝え、実際にメーカーとの交渉、設計、製造原価の算出などをやってくれたのは設計陣です。

2、ゲートのヒンジは通常、ルーフの曲面が大きく変化する位置にパーティング・ラインがあり支点をオフセットをしなければルーフとゲート先端が干渉してしまいヒンジ部が大きくなってしまうのですが、S30のゲートのパーティング・ラインはなだらかな曲面上にあり、シュミレーションをすればゲートが上方に開くので、支点を大きくオフセットする必要が無かったこと、私が技術電算課に出向してすぐにS30のデータをコンピュータに入力していたので、ゲートの開口軌跡を簡単にシュミレーションができたと設計陣から感謝されました。

3、4、5、はCA案がファイナルとなった結果論で発言できることで、Mさんが注力していたD案が採用されていたらこれらのことは言えないデザイン上の問題で、ウインドー周りのモールは黒いゴム・モールでは淡色系では目障りになってしまうため、どんなボディカラーでも対応できるように採用したもので、豪華さを狙ったものではありません。空力を気にしていたのならフェンダー前部のランプハウス・カバーを全モデルに装着するようにアピールし、設計にそれを認めさせる努力をするのがスタジオ・チーフの仕事です。

6、インテリア・スタジオ(当時、荒崎さんがスタジオ・チーフでマルZ計画のデザイン担当者は千葉君)が内装デザインに責任を持っており、エクステリア・デザインスタジオの第4スタジオは意見は出来ても実際のデザイン作業はインテリア・デザインスタジオに委ねられています。秀逸なインテリアデザインはインテリア・スタジオの成果です。

7、グリルのデザインはモデルによってその処理が変わってくるもので、Mさんが注力していたD案に決まっていたらこれをアピールすることもできませんし、私は半艶のマットブラックの横バーグリルのデザインをしており、あのチープなエキスパンド・メタルの額縁デザインは一体なんなの?と未だに思っています。


*この動画でM氏は、部外者が当時の日産設計陣の体制を知らないことをいいことに、M氏自身がエクステリアデザインからインテリア、カラーリング、新メカの採用、エンジン・タイヤの選定などS30の開発の全てに主導的な立場で関わったように語っています。これは、15年もあちこちのトークショウで同じことをしゃべってきたため、M氏自身も垣根が分からなくなっているのでしょう。また、田村をデザイナーではない(スタジオにいたかどうかわからない)存在にしておけば、「チーフデザイナー」として皆さんから称賛される美酒に酔えますし、あれもこれも自分が主導して実現した事にしておいた方がかっこいいですしね。それと、最近現れた田村って奴はエクステリアデザインのことしかしゃべれないのなら、M氏がS30開発のスポークスマンでいいじゃないか、というのがジャーナリストの見かたなのかもしれません。
M氏自身は携帯電話もパソコンも使っていないと聞きましたが、M氏と懇意にしているジャーナリストやS30クラブのM氏シンパの人から雑誌の記事やこのブログの内容を聞いているはずですが、今日に至るまで、私にはなにも言ってきません。雑誌の記事に対しても田村に関することは一切黙殺を続けているようで、これも極めて不自然なのですが、私には理由が分かりません。
*

**それと、M氏の紹介テロップに「スタジオ長」と有りますが、当時、「チーフデザイナー」という呼称も有りませんでしたし、「スタジオ長」という呼び方は誰もしていませんでした。
スタジオのリーダーを単に「チーフ」と呼ぶか、「総括」(ほとんどのスタジオチーフは総括職だったので)と呼んでいました。
いずれにしてもゼネラル・マネージャーではない立場の人でしたから、どう呼んでもいいのですが。
**   


2011/10/11** の部分を追記しました
2011/12/02****の部分を追記しました

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以上です。
読者諸兄の賢明な判断に期待致します。

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