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2010年6月 5日 (土)

Toyota2000GT/Nissan2000GT(A550X)同祖論を喝破する

トヨタ2000GTと日産2000GT(A550X)の関連については過去のエントリーで何度も取り上げていますが、今回もひつこくこの件を追及しようと思います。

さて、俗説ではトヨタ2000GTも日産2000GTもヤマハが設計図、或いは企画を持ち込んで出来たクルマだということになっていますよね。
それ故に、両車のルーツは同じであり、「トヨタはスポーツカーを開発するスキルが無くて日産でボツになった企画をヤマハから買った」とか、「開発もヤマハに丸投げでトヨタ2000GTはトヨタのバッヂを付けただけのクルマ」などと、トヨタにとっては侮辱的ともいえる言説がネット上で広く語られています。

当ブログでは、トヨタ2000GTと日産2000GTに何の関連もないことを、過去のエントリーで何度か書きました。
それらは、トヨタ/ヤマハ双方の当時の動静や車体構造の違いなどを根拠にしましたが、今回は以前とはちょっと違ったアプローチで俗説を否定してみようと思います。
俗説は広く、そして一部では固く信じられていますから、これを打ち破るには色んな角度から攻め込む必要があると、私はそんな風に考えています。
 

では、早速本題に入ります。
トヨタ2000GTと日産2000GTの関連について一番よく知っているのは誰かと云えば、やはり開発に関わった当事者かと思います。
当事者が二車の関連についてどのような見解をもっておられるかが分かれば、諸説語られるこの案件にケリをつけられるでしょう。
そうは言っても、そんなに都合よく当事者の見解など知ることが出来のるか、と疑問に思われるかもしれませんね。
でも、ご心配なく。 
このようなエントリーを書くということは、そんな都合のよい資料があるということです。^^;
その資料も、トヨタもしくはヤマハのどちらか一方だけのものだと説得力を欠いてしまいますから、今回はトヨタとヤマハ双方の資料を用意しました。
 
それではまず、トヨタ側の資料から見てみましょう。
証言者は、トヨタ2000GTのデザインを手掛けられた野崎 喩氏です。
100605_2000gt_nh30 (Click image for full size)
※Nostalgic Hero Vol,30は'92年4月号です
※画像が切れてしまう場合はここをクリックして下さい。

----ヤマハは日産と共同でA550Xというスポーツカーを開発していましたが、シルビアやフェアレディZの開発との関係で計画を中止していますね。これと2000GTの共通点はないのでしょうか。

野崎 まったく別物ですね。影響されたところもありません。 ('64年)12月にA550Xを倉庫の中で見せてもらったのですが、フレーム付きで車高も高かったですね。似ていたのはヘッドライトがリトラクタブル式というだけで、われわれがイメージした2000GTとはまったく違う車だった。
(中略)
野崎 A550Xは全長4177mm、全幅1568mm、全高1226mm、ホイール(ベース)2380mmといったところです。(トヨタ2000GTの全長4175mm、全幅1600mm、全高1160mm、ホイールベース2330mm) 大きく違うのは全高で70mm近く高い。もちろん、スタイルの面構成もまったく違います。このA550Xを見せてもらうころには、すでに2000GTの設計図が完成していたんです。
(後略)

ご覧のように、野崎氏はトヨタ2000GTと日産2000GTの関連をきっぱりと否定されています。
今度は、ヤマハ側の資料を見てみましょう。
証言者は、トヨタ2000GT/日産2000GTの開発に際し、ヤマハ側のリーダーを務められた安川 力氏です。
100605_2000gt_monomag323 (Click image for full size)
※モノ・マガジン No,323は'96年8月2日号です
※画像が切れてしまう場合はここ
をクリックして下さい。

---- しかし、ここで、どうしても無視できないのは、やはり奇しくも同じ名前を持つ日産版2000GTの存在である。その開発を通じて培われた技術が、そのままトヨタ2000GTにも採用されたのでは?と推測することは、ごく当たり前の発想であろう。

安川 「いや、それはないでしょう。企画が全然違いますからね
(後略)

ご覧のように、トヨタ2000GTと日産2000GTとでは企画が全然違うそうです。
そして、これらは全く別々に行なわれた取材であるにも関わらず、トヨタとヤマハ双方の当事者の証言が一致しました。
これで、真実が何であるかははっきりしたでしょう。
即ち、トヨタ2000GTと日産2000GTは何の関連もない全く別物のクルマである、ということです。
ですから、冒頭に書いたような俗説は事実無根であり、何処かの誰かが考えたフィクションだということになります。
まあ、元々俗説には明確なソースがありませんでしから、とても鵜呑みにはできませんでしたが、このように当時者の証言によって真相が明確になりましたので非常にスッキリしましたね。
これにて一件落着です。

そんな訳ですから、読者の皆様におかれましては、ウェブに蔓延る如何わしい言説にゆめゆめ騙されませんよう十分お気をつけ下さい。
そして、正しいヒストリーを理解して、

先人の功績を正当に評価しましょう!!1!!1

最後にちょっと補足です。
安川氏の記事中に「エンジン・艤装関係が高木さん」とありますが、トヨタ2000GTの艤装を担当されたのは野崎氏です。
日本楽器の木工技術に目をつけて、インテリアにローズウッドを使うことにしたのも野崎氏でした。
高木氏はエンジンと補機類を担当されました。
また、山崎氏はドライブトレーンを含めたシャシー全般の設計を担当されました。
青四角で囲んだ部分は、画像にも書き込んだようにヤマハが日産と提携した際の話です。
ヤマハは日産と提携した当初、日産の先行開発などの仕事を任されて、ある程度技術を認められた後に、シルビアの試作や日産2000GT(A550X)の開発を依頼されました。
トヨタと提携した際は、ヤマハはいきなりトヨタ2000GTの開発に参加しています。


   

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