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2010年4月 7日 (水)

謎の試作車、ホンダスポーツX (後編)

(2013/11/29:追記)別エントリーへのリンクを追加しました。


前回のエントリーでは、研究所で製作された、恐らく最初期のものと思われるワイドボディのスポーツ500を紹介しました。
第1回日本グランプリの会場に姿を現した当該車は、ボディに54とナンバリングされていたので、このエントリーでは便宜的に54号車と表記します。
尚、54号車は第1回日本グランプリの会場に姿を現したものの、レースには出場しなかったことを、過去のエントリーdenbeyさん(スポーツ360の開発に関わられたホンダのOBの方です)にご教示頂きました。

 

さて、市販車と同じワイドタイプのボディを持ちながら12インチのタイヤ/ホイールを履かされた、特異な姿の54号車ですが、実は当時のホンダの社内報でもその姿を確認することができます。
但し、これは社内報で確認できる車輌のディテールが54号車と一致するので“同一車ではないか”と個人的に推測しているだけで、間違いなく同一車であると言いきれる確証はありませんのでご注意下さい。
その54号車と酷似した車輌の写真は↓こちらです。
100407_fly35 (クリックで拡大表示)
         フライング No,35より引用 

この写真は、東南アジアのホンダディーラー一行が研究所を訪問した際に撮影されたものです。
一行が日本に滞在したのは、'63年4月29日から5月10日まで。
写真の車輌が54号車であれば、まだボディに54のナンバリングがなされていないので、“第1回日本グランプリが開催される以前に撮影された写真”と考えるのが自然でしょう。
因みに、第1回日本グランプリが開催されたのは、'63年5月3~4日のことでした。

写真の車輌は、ご覧のように一文字バンパーが装着されグリルは横桟が3本です。
フェンダーミラーの位置は量産型よりも後ろで、ホイルーキャップは装着されていませんがタイヤ/ホイールは明らかに量産型よりも小径(12インチ)、タイヤのホワイトリボンは太いです。
エンジンフードにスリットがないのも、初期のワイドボディ車の特徴です。
上の写真では分かりにくいかもしれませんが、フロントのターンシグナルランプも量産車のそれとは違う独特の形状をしています。↓
100407_ (クリックで拡大表示)

以上の特徴は、54号車と全て一致しています。
となると、写真の車輌は54号車と考えられますが、個人的にはどうも釈然としません。
何故釈然としないのかについては後述します。

さて、この54号車と各部の特徴が一致する車輌が、このエントリーの主題である“謎の試作車”かというとそうではありません。
一枚目の画像をよくご覧下さい。
画像の左端に、もう1台ホンダスポーツが見切れていますね。
謎の試作車”とは、実はこの見切れている車輌のことなのです。

それでは、謎の試作車の全体をじっくりと観察してみましょう。
100407_h_sportsx (クリックで拡大表示)
          フライング No,35より引用 

ちょっと粗い写真で分かりにくいかもしれませんが、この車輌にはフロントスクリーン越しにテンションロッドが確認できます。
参考までに、'62年型のSports360もSports500も、ルームミラーはダッシュボードに直付けで、テンションロッドはありませんでした。
フェンダーミラーの位置を見ると、54号車と同位置になっています。すなわち、'62年型よりも前方で量産型S500よりも後方です。
ボンネットにスリットも確認できません。タイヤ/ホイールも12インチですね。
となると、この車輌は54号車と同仕様なのでしょうか?

答えはNOです。
まず、フロントグリルをよくご覧下さい。
…と言っても上の画像では分かりにくいので、フロントグリルの部分を拡大した画像を下に示します。
100407_h_sportsx_f (クリックで拡大表示)
どうでしょう? 横桟が4本ありますよね。 これは、'62年型の車輌の特徴です。
もう一箇所、グリルの下のスカートに注目して下さい。
中央のナンバープレートが付く部分に、プレスによる台形の出っ張りがあります。
これも、'62年型の車輌の特徴です。
下掲の画像は、'62年型スポーツ500の前部を撮影したものです。上の画像と見比べてみて下さい。
100407_mf_63_021 (クリックで拡大表示)
ご覧のように、グリル・スカート共に'62年型に形状が酷似しています。
3つ上の画像をもう一度よく見ると、テンションロッドは付いているものの、ルームミラーはダッシュボードから生えているように見えますね。

このように、謎の試作車は54号車(ワイドボディ)と'62年型(ナローボディ)の両方の特徴を有しています。
このような試作車を、私は他に知りません。
それ故、この車輌を“謎の試作車”としました。

謎の試作車には台形のプレスがあるスカートが付いていますので、おそらくナローボディと思われます。
とすると、排気量は500でしょうか、それとも360でしょうか。
残念ながら、ボディの後部を見ることができないので判断できませんが、車輌と後ろに立っている方達との位置関係を見ると、お尻が短いような気がしないでもありません。
もし、この車輌が360ならば、これが幻の浜松製'63年型Sports360かも…と、つい妄想が膨らんでしまいますが、真相は不明です。
もし500ならば、ナローボディで54号車と類似した仕様の車輌があったことになりますね。
でも、そのような車輌がこれまでに確認されたことはありません。
この謎の試作車は、どういった目的で作られた何ccの車輌だったのでしょうね。

もし、この謎の試作車について何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご一報頂けると有難いです。

参考までに、フライング誌に掲載されている写真を、トリミングなしで転載しておきます。
皆さんの推理をお聞かせ頂けたら幸いです。
100407_fly35_2  (クリックで拡大表示)   

ところで、こうして2台が並んだ状態を見ると、2台ともナローボディに見えませんか? 
写真の関係かもしれませんが、どちらもボディが幅狭に見えますよね。
上で「釈然としない」と書いたのは、実はこういった理由からです。
ですから、私は右の車輌を54号車とは断定しません。
この54号車と酷似した車輌をどう解釈するかは、このエントリーを読まれた方の判断にお任せします。

余談ですが、私は初めてこの写真を見た時に、右の車輌が54号車風に改修済みの'62年型スポーツ500で、左の車輌は54号車風に改修中のスポーツ360又は500と考えました。
真相は藪の中ですが、何れにしても謎の多い写真であることは間違いありません。
全ての謎を早く解明したいところですが、残念ながら情報がありません…。

それと、気が付かれた方がいるかもしれませんが、この写真の左上の部分をよく見ると、もう1台のホンダスポーツが写っており(組み立て中でしょうか?)、我々をさらなる迷宮へと誘っています。
'63年4月~5月頃というと、360の方は浜松製作所で量産立ち上がり前の試作イベントが行なわれていましたから、この時期に研究所で造られていたホンダスポーツはワイドタイプの500だと思いますが…こちらも情報がないので断言はできません。

そんな訳で、このエントリーでは結論めいたことを何も書けませんでしたが、分からないことについて“分からない”以上のことは書けませんので仕方がありません。
とにかく、正体のよく分からないホンダスポーツの試作車が存在したことは、お分かり頂けたかと思います。

繰り返しになりますが、このエントリーで取り上げた車輌について、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご教示頂けると有難いです。
真相解明のために、ご協力の程よろしくお願いします。


(2013/11/29追記)
この謎の試作車の正体がおぼろげながら分かってきました。
詳しくは以下のエントリーをご参照下さい。

【SPORTS360】お詫びと訂正【スポーツ360】

 

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コメント

こんにちは!
記事の内容とは関係ありませんが、100円レンタカーのトップページです。
「昔は100円でゴーカート」が、ちょっと懐かしくて何度読み込んで見てしまいました。
多摩テックでしょうか、朝霞かな、鈴鹿かな・・・私には分かりませんでした。

http://bit.ly/c7Ji9W

投稿: nash | 2010年4月30日 (金) 午前 11時10分

>nashさん
コメントありがとうございます。
レスが遅くなりましてすみません!

リンク先、見てみました。
フラッシュ動画で最初に表示される古写真に写っているのは、このブログで何度か取り上げた、Sを模したゴーカートの“ホンダS50”ですね。
画面をキャプチャして写真をよく見てみましたが、どうやら高架になったコースを走っているようです。
で、コースは長い下り坂になっていて、かなり起伏のある場所のようなので、おそらく多摩テックではないでしょうか?
…違うかな。^^;

投稿: mizma_g@管理人 | 2010年5月 1日 (土) 午前 11時52分

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