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2009年3月16日 (月)

【T360】画像で見る、試作から量産初期までのエンジンヘッドの変遷

(追記あり)

こんなエントリーを書く予定はなかったのですが、画像の整理をしていたら初期T360のエンジンヘッドの画像が何枚か見つかったので、備忘のために気付いたことをまとめておこうと思います。

まずは、試作もしくは量産最初期のエンジンヘッドから。
090316_  (クリックで拡大表示)
この時期のエンジンヘッドの特徴を番号順に解説すると…。
1.ブリーザーカバーがボルト2本留め
2.ブリーザーチューブは下向きで大気開放
3.プラグカバー上部の補強リブがボルト孔側にあり小さい
4.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が狭い。 (但し、後の量産エンジンのものよりは幾分広い)
5.中子砂を抜くための孔(?)を塞ぐ、ボルト2本留めの蓋がシリンダーヘッド後部にある。
6.燃料ポンプシュラウドを固定するステーが○で囲んだ部分にない。

次は、'63年の晩夏頃、東北を巡行したT360と同じカラーリングが施された、'63年型T360のエンジンヘッドの写真です。
この車輌を'63年型と判断したのは、この写真が '63年9月1日に発行されたモーターファン誌('63年9月号)に掲載されているからです。
090316__2 (クリックで拡大表示)
この'63年型も、各部の特徴は上のエンジンと同じで…。
1.ブリーザーチューブは下向きで大気開放。
 (キャビン内からエンジンを撮影した写真を見ると、ブリーザーカバーはボルト2本留め)
2.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が狭い。 
3.中子砂を抜くための孔(?)を塞ぐ、ボルト2本留めの蓋がシリンダーヘッド後部にある。
4.燃料ポンプシュラウドを固定するステーがない。

ボルト2本留めのブリーザーカバーは、AK250-30001(試作車)にも使われていました。(出典:OT誌90号P11)
パーツリストを見ると「AK250-30001~AK250-10820」までが同じ品番のブリーザーカバーを使っていたようなので、このタイプのブリーザーカバーは試作から量産初期まで使用されていたと考えられそうです。
※備考 「AK250-30001~AK250-10820」=「AK250-63-30001~AK250-64-10820」だと思います。


次はこちら。
090316_ak250e401503 (クリックで拡大表示)
このエンジンは、以前私が所有していたものです。 機関番号は「AK250E-401503」。
このエンジンのヘッドを番号順に解説すると…。
1.ブリーザーチューブは下向きで大気開放。
2.ブリーザーカバーはボルト3本留め。
3.プラグカバー上部の補強リブがボルト孔側にあり小さい。
4.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が広い
5.中子砂を抜くための孔(?)を塞ぐ、ボルト2本留めの蓋がシリンダーヘッド後部にある。
6.燃料ポンプシュラウドを固定するステーが追加されたため、ヘッドカバーの膨らみ部分にボルト孔が設けられている。

このエンジンは、機関番号から'64年型と推測され、千番台であることから'64年型の中でも比較的早い時期に生産されものと考えられます。
上の2つのエンジンと比較すると、2. 4. 6.の部分が変更されていることが分かります。

私が過去に所有していたエンジンと特徴が一致するエンジンを搭載したT360が、以前某オークションに出品されていました。
その時に保存しておいた画像があるので、ちょっと拝借して解説します。
(画像の無断使用は困る、という場合はコメント欄かメールにてお知らせ下さい。すぐに削除いたします。<オーナー様)
090316__3  (クリックで拡大表示)
1.ブリーザーチューブは下向きで大気開放。
  (別の写真にて、ブリーザーカバーがボルト3本留めであることを確認しました)
2.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が広い。
3.中子砂を抜くための孔(?)を塞ぐ、ボルト2本留めの蓋がシリンダーヘッド後部にある。
4.燃料ポンプシュラウドを固定するステーがある。

以上の2基は、「AK250-10821~AK250-403264」に該当するのではないかと考えています。
このオークションに出品された車輌は、福島の試作車を除けば、現存するT360の中で最も古い部類に属する1台だと思うので、もしまだ存在しているのなら大事にして頂けるとうれしく思います。


まだまだいきます。
次はカタログからの引用です。
090316_ak_cv  (クリックで拡大表示)
1.ブリーザーチューブは上向きで、サクション系に接続
2.ブリーザーカバーはボルト3本留め。
3.プラグカバー上部の補強リブがボルト孔側にあり小さい。
4.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が広い。
5.燃料ポンプシュラウドを固定するステーがある。

このエンジンは、概ねすぐ上の2基と同じ特徴を有していますが、ここにきてようやくブリーザーチューブがサクション系に繋がれるようになります。
キャブレターは京浜CVBで、バキュームピストンチャンバー上部にネジ留めのグロメットが付くタイプですから、これも一般的には“初期型”と呼ばれるエンジンだと思います。
このタイプのエンジンは「AK250-403265~AK250-1003381」に搭載されたのではないかと考えています。(あくまでも私見です)

もう一枚。
090316_ak_solex  (クリックで拡大表示)
このエンジンのヘッド廻りの特徴は、一つ上のエンジンと一致します。
只ひとつ違うのが、キャブレターが三国ソレックスである点。

T360に関する通説の一つに、“キャブレターは初期がCV4連、中期がソレックスツイン、後期がワンキャブ”というものがあったと思いますが、ご覧のように三国ソレックスは量産初期(遅くとも'64年型の三千番台以降)から使われており、通説の信憑性は相当怪しいのではないかと思います。
パーツリストでソレックスが初号機から設定されていることも、通説を否定する大きな材料になるでしょう。
じゃあ何故、ソレックス仕様の初期型を殆ど見掛けないのか、ということになると思いますが、何故なのでしょうね。
私にはよく分かりませんが、ソレックスよりもCVの方が調子を出しやすかったそうなので、もしかしたら使用過程で換装された車輌が多かったのかもしれません。
まあ、仮にソレックス仕様の初期型エンジンが残っていたとしても、前述のような通説が長い間まかり通っていましたから、“これはソレックス仕様の初期型!”と口角泡を飛ばして力説したところで、なかなか信用されないでしょうし、“CVからソレックスに載せ替えたのだろう”とう突っ込まれれば、それを何がしかの証拠を提示して反論するのは困難でしょう。
そうなると、現物から「初期型にもソレックス仕様の車輌があった」ことを証明するのは難しくなってしまいます。(通説を何処の何方さんが言い出したのかは分かりませんが、何とも迷惑な話です)

そんな閉塞的な状況を打破してくれるのが、この三国ソレックスを装着した初期型エンジンの写真というわけです。
この写真は、当時メーカーが配布した販促資料に掲載されているものですから、信憑性は抜群。
この写真を否定することは、何人たりとも出来ないでしょう。
090316__4  (クリックで拡大表示)

ちょっと話が横道に逸れたので元に戻します。
T360のエンジンヘッドはその後どうなったかと言いますと、↓こんな風になりました。
090316_ak1 090316_ak2 (クリックで拡大表示)
※この画像はウェブで拾ったものです。 採取場所を失念してしまったので無断使用です。(陳謝
 もし、この画像を使用することに問題がありましたら、ご一報下さい。<画像の所有者様
 

1.ブリーザーカバーはヘッドカバーと一体。(非分解式になりボルトが無くなる)
2.ブリーザーチューブは上向きで、サクション系に接続。
3.プラグカバー上部の補強リブはプラグカバー側に入っていて、サイズが大きい
4.カムシャフト軸受け部の膨らみの幅が狭い
5.中子砂を抜くための孔(?)が無く、ボルト留めの蓋も無い
6.燃料ポンプシュラウドを固定するステーがある。

この仕様がいつ頃から採用されたのかは分かりませんが、おそらく現存するAK(除く、BK)にはこのタイプのエンジンを搭載したものが一番多いのではないでしょうか。
この辺りのものになると、所謂“初期型”とは言えなくなってくるように思うのですが、これは初期型の定義を知らないワタクシの個人的な考えですので、おそらく異論反論があろうかと思います。
エンジンの他の部分や、車体各部の特徴も勘案しないといけませんしね。

(09/03/17:追記)
↓このような画像を見つけました。   
090317_t360 (クリックで拡大表示)
これはカタログを撮影したものですが、右側に写っているエンジンのヘッドカバーをよく見ると、ブリーザーカバーは非分解式で、大きな補強リブが入っており、カムシャフト軸受け部分の膨らみの幅は狭いです。
一つ上の画像のエンジンと同じ仕様ですね。
京浜のCVBキャブは、ネジ留めのグロメットが廃されて樹脂パーツで蓋をされたタイプです。
これも、一つ上の画像のエンジンと同じ仕様。
今度は左側の車体を見ると、ボンネットのHマークが白く塗られており、この写真が'64年末以降に撮影されたものであろうことが分かります。
手前に写っているダッシュボードを見ると、灰皿がダッシュボードの上面に付いています。
これは、所謂“初期型”のキャビンですね。
ということは、“初期型”キャビンは'64年末以降に生産された車輌にも使用されたのでしょうか?
残念ながら、“白いHマーク”と“上付き灰皿”が同一車の仕様ではないので断定はできませんが、その可能性は少なからずありそうです。
そして右のエンジンも、灰皿がダッシュボードの上面に付く“初期型キャビン車”に装着されたとは必ずしも言えませんが、そういう組み合わせの車輌が存在した可能性は排除できないと思います。
仮に、この「非分解式ブリーザーカバー・大きな補強リブ・幅の狭いカム軸受け部の膨らみ」の特徴を有するヘッドカバーが装着されたエンジンが、所謂“初期型”の車輌に使用されていたとすれば、一つ上の画像のエンジンを“初期型”というのは間違いではなくなりますね。
ただ、4年間しか生産されたかった機種の、発売後1年半近く経過してから生産されたモデルを初期型というのはどうかと、個人的には思いますが…。

--------------------<追記ここまで>------------------------------


ということで、ヘッド廻りの変遷について気が付いたところを纏めてみました。
また何か気がつきましたら、随時追記していく所存です。




  

  

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