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2009年2月25日 (水)

Honda S600の発売時期

エスロクは守備範囲外なのですが、ちょっと気になったので書いてみます。

「発売日」というのは、“ある商品が市場に流通し始める日”という認識でOKですよね。
例えばメーカーがある商品を“2月1日発売!”と発表すれば、その商品は2月1日から店頭に並ぶようになり、一般の購買者はその日から商品を入手できるようになる。
こういうことだと思います。

さて、S500の発売時期が一般に知られている'63年10月ではなくて、'64年2月1日だったことは何度かこのブログに書きました。
このS500の正しい発売日は、当時のモーターファン誌('64年7月号)にもしっかりと書かれています。
090225_mf6407_s500s600 (クリックで拡大表示)

また、このモーターファン誌の記述を裏付けるように、当時の登録台数の記録を調べるとS500の登録は'64年2月から始まっています。

上掲のモーターファン誌には、S600の発売日も書かれていますね。
ご覧のようにS600が発売されたのは3月1日だそうです。
S600が'64年3月に発売されたことは、エスの専門書や旧車専門誌にも書かれており、エスマニアの方にとっては周知のことと思います。

でもですね、この広く知られているS600の発売日は、たぶん間違いだと思います。
何故なら、ホンダの広報誌「Pole Position」に掲載されている埼玉製作所・大和/和光工場の年譜に拠ると、埼玉製作所でS600用エンジンの生産が開始されたのは'64年4月だったからです。
090225_ (クリックで拡大表示)
※この年譜は「埼玉製作所史総合年表」を基に作成されたようです

エンジンの生産が始まる以前に、S600の完成車を市場に流通させることは物理的に不可能ですよね?

モーターファン誌の記事をよく見ると、「S600の生産はやや遅れこの5月から本格的になった様子」とも書かれており、S600の発売日を3月1日としながらも、実際には生産が遅れていたことが読み取れます。
また“5月から本格的になった様子”という部分は、年譜に記載されていることと矛盾しません。

例えば、こんな推理はどうでしょう。
量産立ち上げが4月で、完成車の配車が本格的に始まったのが5月頃だった。
5月頃から市場にS600が流通し始めたので、この記事を書いたライターさんはS600を5月以降に路上で見かけるようになり、自身の目撃経験から“5月から本格的になった様子”と書いた。
こんな風に考えると、年譜とモーターファン誌の記述は見事に一致するように思います。

つまり、S600が発売されたのは実は5月頃だったのではないか、と私は思う訳です。
S600はS500と同様に、事前にホンダから発表された発売予定日が発売日として後世に伝わり、本当の発売日は歴史に埋もれてしまったのではないでしょうか。
残念ながら、登録台帳等に拠る裏取りは出来ていないのですが、でもS600の“'64年3月1日発売説”は、ちょっとばかり信憑性に欠けるように思います。


2014年09月23日追記
一般顧客向け(市販型)S600の生産が始まったのは、'64年(昭和39年)5月、車台番号10105からだったことが判明しました。
詳しくは下記のエントリーをご覧下さい。
『 【再考】ホンダ スポーツ500/S500の生産台数 』


090225_s6001 (クリックで拡大表示)
090225_s6001
                     S600の試作1号車
余談ですが、このS600試作1号車はS500のボディを流用して作られていまして、エンジンルームをよく観察すると、インナーフェンダーにシュノーケルタイプのエアクリナーを収めるための凹みが確認できます。


   

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