« 特殊エンジン自動車の一覧とステッカーの様式 | トップページ | トヨタ2000GTは日産2000GTの影響を受けていたのか »

2008年12月12日 (金)

Goertz Interview 「アルブレヒト・ゲルツに聞く」

古いNostalgic Hero誌を読み返していたところ、アルブレヒト・ゲルツ氏のインタビュー記事を発見したので早速テキストを起こしてみました。
記事には、初代シルビアの“木村一男氏デザイン説”や、日産2000GT(A550X)・トヨタ2000GT・フェアレディZのデザインを手掛けたと言われていることに対しての氏の見解が記されています。
興味のある方は、ぜひご覧になってみて下さい。

--------------------------------------------------------------------------
Q:失礼ですがあなたはゲルツさんですか?
A:いや、違うよ。あそこにいる女の子がそうじゃないか。

Q:私はBMW503、BMW507をデザインし、日産車のデザインにも協力したゲルツを探しているんです。
A:それは私だ。私がアルブレヒト・グラーフ・ゲルツだ。からかって悪かったよ。

Q:あなたはドイツ生まれで、アメリカに移住し、アメリカで仕事をしたというのは本当ですか?
A:アメリカのレイモンド・ロウィの事務所で働いたことはある。アメリカの好みは肌でわかっているつもりだ。BMW503やBMW507をデザインする時はドイツで仕事をしたよ。

Q:BMW503は'56年5月発売で、BMW507は'56年11月発売ですね。発売時期が近いから大変だったんでしょうね。
A:そう、BMW503が作られたとき、BMW507のプロジェクトも完成期にあった。

Q:BMW503は伝統のキドニーグリルがありますが、BMW507にはそれがないですね。
A:あれはアメリカ市場を意識した車で、ライバルはベンツ300SLだったからあのようなスタイルにしたんだ。それに、輸入業者のマックス・ホフマンが国際的な上流階級用のモデルを提案したということもあったからね。

Q:あなたはどのようにして日産とコンタクトをとったのですか。日産からオファーがあったのですか。
A:いや、私の方からだよ。その時はどの会社とも契約が切れていた時だった。日産もデザイナーが欲しい時期だったんだろう。

Q:日本にはどのくらいいたのですか。
A:ずっといたわけではなく、5年間のうちに何度もアメリカと日本を往復したよ。

Q:日産はそのころヤマハと提携しているんじゃないですか。
A:そう、ヤマハがGTを作っていたよ。赤いGTでね。それがニッサン550Xだよ。ヤマハにとって、トヨタ2000GTを作るときに参考になったと思うよ。浜松のヤマハには何度も行ったよ。

Q:シルビアに関係したと言われていますね。ノスヒロではデザイナーのイラストを掲載しましたよ。
A:本当か(かなり驚いて)。そうか、ぜひその雑誌を送ってくれないか。それは私にとって良い記事か、悪い記事かね。

Q:それはどっちとも言えませんが、真実だと信じて掲載しました。アメリカの『インダストリアル・デザイン』には日本の量産車を初めてデザインしたアメリカンデザイナーとありますが。
A:今、思い出したよ。キムラ・カズオ(木村一男)とかいう若いデザイナーを。彼を教えたことがあるよ。彼がシルビアをデザインしたというならそうだろう。

Q:雑誌によってはニッサン550X(GKグループデザイン※1)、シルビア(木村一男デザイン)、トヨタ2000GT(野崎 喩デザイン)、フェアレディ240Z(松尾良彦デザイン※2)まであなたがやったことになっているが。
A:それは、私が教えた日産のデザインがそれらに影響を与えたという意味じゃないかな。勝手に書いたのは雑誌だよ。リップサービスで曖昧な返事をしたことはあるがね。

Q:そうですか。それを聞いて安心しました。雑誌をアメリカのどこに送るのか、住所を教えて欲しい。
A:(ノートに住所を書いて)簡単な住所でわかるよ。私はドイツでは有名だから、「ドイツ・ゲルツ」でくるよ。私は村を持っているんだ。だから村長さんみたいなもんだよ。

Q:えっ、今は生まれ故郷のドイツに帰ったのですか。ラグナセカのテーマのBMWのためにはるばるドイツから駆けつけたのですか。元気ですね。ところでおいくつになったのですか。
A:200歳だよ。いや、冗談だ。82歳になったよ。

(ノスヒロでは詳細を電話で聞いてみようと思い国際電話してみたら、電話番号は使われていないということだった。また、郵便で雑誌を送ろうとしたら、ゲルツが書いた住所は不正確で届かないということだった。そういえば、冗談好きなおじいさんという感じだった。アメリカでの噂も聞いた。いろんな車を自分がやったと言っているというのだ。
 このインタビューは'96年8月16日にラグナセカのBMWのブースで行なったもので、広報課を通して行なったものではなく、BMWの広報課の話では、ゲルツは彼らの管理下にはなく、連絡先も把握していないということだった。こんな状況下のインタビューであるということをお察しの上、この記事を読んでいただければ幸いである。事実を知っている方がおられたら、編集部までご一報ください。)
(Nostalgic Hero Vol,61 97年6月号より引用)

↓こちらは元記事の画像です。
081212_61_9706 (Click image for full size.)

※1 A550Xのエクステリアデザインを手掛けたのは木村一男氏です。
※2 初代フェアレディZのエクステリアは、松尾良彦氏のA案と吉田章夫氏のC案を組み合わせたものだったばずです。(間違っていたらご指摘をお願いします…)
--------------------------------------------------------------------------

これが、12年前のインタビューでゲルツ氏が語った、彼自身の見解です。
即ち、初代シルビアをデザインしたのは木村一男氏であり、日産2000GTやトヨタ2000GT、フェアレディZの“ゲルツデザイン説”については雑誌が勝手に書いたものである(ゲルツ氏は関係していない)ということです。
当の本人が証言していることですから、これは否定しようがありませんね。
因みに、このゲルツ氏の証言は、私がこれまでこのブログに書いてきたことと矛盾しません。

ということで、また私の考察の正しさを証明してくれる証拠を見つけた訳ですが、残念ながらWeb上では、まだまだおかしな言説がまかり通っているのが現実。
特に海外のサイトでは“あれもこれもみんなゲルツデザイン”説が支配的で、もう手の施しようがなさそうな雰囲気です。
何とかならんもんかと思いますが、ネットの情報伝播力は物凄いので、今となっては何ともならんでしょうね…。orz

081212_silvia_1964tokyo_show
第11回東京モーターショーに出展されたDatsun Coupe1500 を背に微笑む、左からAlbrecht Goertz・木村一男・吉田章夫(?)四本和巳の三氏


今夜の月はずいぶん大きく見えるなぁと思ったら、今日は1年のうちで一番 地球と月の距離が近くなる日なのですね。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200812111826

 

|

« 特殊エンジン自動車の一覧とステッカーの様式 | トップページ | トヨタ2000GTは日産2000GTの影響を受けていたのか »

Nissan 2000GT(A550X)の真実」カテゴリの記事

Nissan A680X / シルビア(CSP311)」カテゴリの記事

TOYOTA 2000GTの真実」カテゴリの記事

コメント

「ネットでの影響力」に幻滅する前に、ご自身がWikipediaに正しい記事を投稿すればいいのではないですか?
その辺りの行動力の無さが前からずっと疑問なんですけど。

投稿: TCR | 2008年12月13日 (土) 午前 01時16分

>TCRさん
コメントありがとうございます。

Wikipediaに正しい記事を投稿すべきとのご指摘ですが、ご存知のようにWikipediaは誰でも内容を書き換える事ができるのが特徴です。
ということは、仮に私がWikipediaに投稿したとしても、違う見解を持つ第三者に書き換えられてしまう可能性があるということです。
実際にトヨタ2000GTの項目では、過去にかなり激しく書き換え合戦的なものが行なわれたという話を聞いています。
そのような、情報を発信する場としては甚だ確実性の低い場所を利用するよりは、自身の主張を確実に発信できるブログやHPを利用した方がずっと効率的だろう、というのが私の考えです。
1日のアクセス数が100前後の過疎ブログですが、それでも国内のみならず海外からも頻繁にアクセスがありまして、熱心な方は翻訳サイトを利用して読んでくださっています。
以前ブログのどこかに書きましたが、ドイツ語版WikipediaのS360の項目には、私のブログを見て書いた解説文が記述されており、私のブログへのリンクも張られています。
日本語オンリーの弱小ブログではありますが、多少の功績はすでに残しているのです。
また、ブログやHPでの情報発信以外にも、時間のある時には海外の自動車関係のBBSなどに出向いて書き込んだりもしています。
私なりに、できる範囲の活動はしているつもりです。
それでも不足だと言われれば、「そうですか、それはスミマセンでした」と言うほかありません。

投稿: mizma_g@管理人 | 2008年12月13日 (土) 午後 05時08分

こんにちは、お疲れ様です
今回の書き込みについて一言です
ブログにおける個人的な研究・コメントには強制力などは何もなく、作成者個人の意見・想いなどを自由に書き込むもので良いと思います。その中で賛同できる人は参加し、賛同できない人は反対意見を言うもしくは読まない。
一番良くないのはただ文句ばかりを言い管理者を困らせる行為だと思います。
ブログに参加している以上は不満などがある場合は「より良い内容にするためどうすれば良いか」と言う気持ちを前提にして一緒に考えることが重要だと思います。
※これは私個人の考えですので管理人さんには一切関係ありません

投稿: 昭和37年式 ホンダS600 | 2008年12月14日 (日) 午後 03時42分

>昭和37年式 ホンダS600さん
コメントありがとうございます。
レスが遅くなってすみません。。。

こういうブログやHPを運営している人間にとって、一番悲しいのは誰にも見てもらえない(アクセスしてもらえない)ことなので、アクセスしたうえで内容まできちんと読まないとできない“コメントの投稿”をして頂けるのは大変有難いことなのですが、私も人の子ですから、どんなコメントに対しても有難いと思えるかというと、なかなかそうは…というのが本音です。^^;
仰るような、建設的な思考に基づいた批判や反対意見でしたら、素直に有難いと思えると思いますけどね。
ただ、そういった建設的な思考に基づいた批判や反対意見を述べてくれるような方は、なかなかいないように思います。
ですから、私としては最低限のマナーやエチケット、モラルを守ってもらえればそれ以上はうるさく言わないつもりなのですが、それもなかなか難しいみたいで。。。

まあ、このブログは言ってみれば俺様帝国ですから、見るに忍びないようなコメントや単なる誹謗中傷、宣伝やスパム投稿などは、私の独断で内容を編集したり投稿自体を削除しますが、ブログの内容をきちんと読んだうえでの批判やご意見には、どんな内容であれ真摯に耳を傾けようと思っています。
TCRさんのコメントも、このブログを以前からお読み頂いていてのご意見と受け止めたので、きちんと返事を書かせて頂きました。
ただ正直、あまりつっけんどんな物言いはご勘弁願いたいですけどね。^^;

投稿: mizma_g@管理人 | 2008年12月15日 (月) 午前 01時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158972/26136634

この記事へのトラックバック一覧です: Goertz Interview 「アルブレヒト・ゲルツに聞く」:

« 特殊エンジン自動車の一覧とステッカーの様式 | トップページ | トヨタ2000GTは日産2000GTの影響を受けていたのか »