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2008年12月15日 (月)

トヨタ2000GTは日産2000GTの影響を受けていたのか

先日アップしたゲルツ氏のインタビューの中で、ちょっと気になった部分があったのでエントリーを書いてみます。

私が気になった部分ですが、それは「ヤマハがGTを作っていたよ。赤いGTでね。それがニッサン550Xだよ。ヤマハにとって、トヨタ2000GTを作るときに参考になったと思うよ。 」というところ。
果たしてゲルツ氏が言うように、本当に日産2000GT(A550X)はトヨタ2000GTを作る時に参考になったのでしょうか。

一般に広まっている俗説では、ヤマハが日産にスポーツカーの企画、或いは設計図を持ち込んで出来たのが日産2000GT(A550X)で、日産2000GTが完成したところで日産とヤマハの提携が解消され日産2000GTがお蔵入りになってしまったため、ヤマハは次にトヨタにスポツーカーの企画、或いは設計図を持ち込み、結果出来上がったのがトヨタ2000GTだと言われています。
企画、或いは設計図を持ち込んだのがヤマハだったため、両車の開発はヤマハが主導して行なったとも言われています。
これらの(誤った)事実関係から、日産2000GT(A550X)≒トヨタ2000GTではないかとか、ほぼ同じクルマとは言わないまでも、時系列を考えるとトヨタ2000GTは日産2000GTの影響を少なからず受けているのでは、と推測されることが多いようです。

私自身は、トヨタ2000GTの初期設計が済んだ後にトヨタとヤマハの技術提携が結ばれていることから、トヨタ2000GTはデザインや車体構造などの面で日産2000GT(A550X)の影響は受けていない、と考えています。
ただ、ヤマハが日産2000GT(A550X)の開発に参加したことで得られた有形無形の技術やノウハウは、トヨタ2000GT開発時に活かされたのでは?とも考えています。

果たして本当にトヨタ2000GTは日産2000GT(A550X)の影響を受けていたのか、それとも受けていなかったのか…。
皆さん本当のところを知りたいですよね。

この疑問に関する答えですが、実はずいぶん前に公表されていたようです。
どこで公表されていたかというと、1996年に発売されたmonoマガジンという雑誌の誌上においてです。
私はこの古いmonoマガジンを、つい最近 惰眠さんに見せて頂きました。
そのmonoマガジン誌にはこう書かれています。

『ここで、どうしても無視できないのは、やはり奇しくも同じ名前を持つ日産版2000GTの存在である。その開発を通じて培われた技術が、そのままトヨタ2000GTにも採用されたのでは?と推測することは、ごく当たり前の発想だろう。「いや、それはないでしょう。企画が全然違いますからね」と安川氏は語る。』
(monoマガジン No,323 P238より引用)

安川氏が“誰か”については、当ブログの以下のカテゴリーをご覧頂くと分かりますが、掻い摘んで説明すると、ヤマハ内でスポーツカーを研究するために「安川研究所(研究室)」を立ち上げてヤマハ初の四輪車『YX-30』を完成させ、その後、日産やトヨタとの共同プロジェクトでは、ヤマハ側のリーダーとして 日産2000GT(A550X)やトヨタ2000GTの開発に直接関わった方です。
我々の疑問に対する回答者として、これ以上最適な方は他に探せないでしょう。

TOYOTA 2000GTの真実
Nissan 2000GT(A550X)の真実
Nissan A680X / シルビア(CSP311)

その安川氏は、ご覧のように日産2000GT(A550X)とトヨタ2000GTの関連を完全に否定しています。
これが真相のようです。
企画自体が違ったため、技術的なキャリーオーバーすらなかったということですから、上に書いた私の推測(の後半部分)は瞬殺ですね…。orz
そして、冒頭に書いたゲルツ氏の私見も、俗説を基にした推察も間違いということになります。

それと、上の俗説の件(くだり)のところに書いた日産2000GT(A550X)はヤマハが開発を主導したという話ですが、この件についても安川氏は自身の著書で真相を明らかにしているそうです。
曰く「日産2000GTは大部分の技術を日産から享受した」との由。
まあ常識的に考えれば、スペースフレームにFRPボディを架装したクルマ(YX-30)しか開発したことのなかったヤマハが、いきなり鋼鈑モノコックボディの日産2000GT(A550X)を自ら主導して開発できるはずなどない訳で…。
この件に関しては、私の推測が当たっていたようです。

081215_a550x_red

 

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コメント

微力ながらもお役に立てたようで幸いです。
改めて、小学館のラピタに掲載された記事画像をメールいたしました。

これまでウッカリ認識から落ちていたんですが、ヤマハのプロトタイプが「スペースフレームにFRP外皮」、日産のA550Xが「鋼鈑モノコック」、そしてトヨタ2000GTが「X型バックボーンフレーム」の車体構造であると言うことは、端的にいってこれら3者はそれぞれ全くの別物であることを、この上なく明確に示しているのではないでしょうか。どう考えたって、根本から設計が違いますもん。

投稿: 惰眠 | 2008年12月23日 (火) 午前 09時30分

>惰眠さん
コメントありがとうございます。
メール、今朝確認いたしました!
…が、今日は朝から大掃除をさせられているため、送って頂いた記事はまだ読めていません。。。
夜にでも読ませて頂いてメールの返信を書きますので、しばしお待ち下さいませ。

A550Xについては本当にご指摘の通りなのですが、こちらもトヨタ2000GT同様 おかしな言説が広まってしまっているのですよね…。
このA550Xについても、根気よく情報を発信していくしか世間の誤った認識を変える方法はなさそうです。

ところで、昨日は“A550X”や“日産2000GT”で検索して来訪された方が多かったのですが、何かあったのでしょうかね?
アクセス数が普段の倍くらいになっていました。^^;

投稿: mizma_g@管理人 | 2008年12月23日 (火) 午後 01時35分

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