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2008年9月29日 (月)

【ビックリ!】発売前のS500に乗る方法があった!【仰天!】

前回予告しましたように、今日は表題のエントリーを書こうと思います。

表題のように「発売前のS500に乗る方法があった!」、しかも、乗ることが出来たのは一般の人間だったと言ったら、俄かには信じ難いですよね。
発売前の新型車と言えば、その情報は自動車メーカーにとって秘中の秘。
普通は絶対に外に漏れないようにするはずです。
ですから、一般の人間が発売前の新型車を運転する機会が与えられるなどということは到底考えられません。

ホンダスポーツが開発された1960年代前半は、昭和でいうと30年代後半です。
昭和30年代というと、何となく大らかで現在と比べるとちょっとアバウトだったイメージが皆さんあるんじゃないかと思いますが、実際は然に非ずで、実はこの頃から産業界では産業スパイの問題が顕在化してきます。
競合するライバル会社との生き残りを掛けた激しい諜報戦が、この時期から始まっていたんですね。
もちろんそれは自動車産業も例外ではなくて、その生々しい自動車メーカー間のスパイ合戦の一端は、NHKアーカイブスで放映された「特命試走車(1964年制作)」というドキュメンタリーで観る事ができます。
黒の試走車(テストカー) 」という自動車メーカー間の諜報戦を描いた映画が封切られたのも、ちょうどこの頃ですね。

S500の発売前夜というのはそんな時代で、決して我々が思っているような大らかな時代ではなかったのです。…少なくとも産業界においては。
ですから、発売前のS500に一般の人間が乗れるなどということは、当時の人達にとってもあり得ないことだったのです。

しかし、我らがホンダは一味違いました。
そんな業界一般の常識を軽くぶち壊していたのです。
S500が発売されたのは '64年2月1日でしたが、それを遡ること約半年前の '63年9月頃に、ホンダはS500のプロトタイプ(以下、S500量産試作車と表記)のレンタルを鈴鹿サーキットで始めていたのです。
たいていの方はそんな馬鹿な…と思われると思いますので、以下に証拠を示します。
080929__flying_35_03 080929__flying_35_04
               (Click image for full size.)

文字が小さくて読みにくいと思いますので、一部を抜粋。↓
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鈴鹿サーキットにホンダレンタカー誕生!!

このほど鈴鹿サーキットに、ホンダのレンタカー(貸し車)が登場しました。
世界最高の鈴鹿サーキットを世界最高のホンダで走る魅力。それはホンダファン・ホンダユーザーにとって最高の夢です。拡販に、セールスマン教育に、またデラックスなユーザーサービスにレンタカーをフルにご利用下さい。
(中略)
★お客様は車を買う前にぞんぶんに試乗してみたいものです。
ホンダS500の魅力はサーキットでこそフルに味わえます。
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これは、ホンダの社内広報誌「フライング No,35」(昭和38年9月10日印刷/昭和38年9月20日発行)をスキャンしたものです。
昭和38年は西暦でいうと1963年。その9月に発行された号ですから、間違いなくS500が発売される前のものです。
'63年9月と言うと、量産型のS500が初めて一般にお披露目された第10回全日本自動車ショー(S38.10/26~11/10)が開催される以前ですから、このことからも、この時期にS500量産試作車のレンタルを始めることが如何にあり得ないことかがお分かり頂けるのではないかと思います。

フライング誌は社内向けに発行されたものだから、S500量産試作車をレンタルできたのは社内の人間だけだったんじゃないの?とお疑いの貴兄のために、↓こんな資料も披露しましょう。
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                 (Click image for full size.)
これは、とある自転車屋さんの判が押された、鈴鹿サーキットのリーフレットです。(個人情報保護のため、判の一部をぼかしています)
このようにS500のレンタルは社外にも広報されていました。

もうひとつ資料がありますので、出し惜しみせずに公開しましょう。
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                 (Click image for full size.)
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               (Click image for full size.)
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               (Click image for full size.)

どうでしょう。
こういう資料を見ていると、当時の鈴鹿サーキットにタイムスリップして、心行くまでS500量産試作車やその他の遊具を堪能してみたくなりませんか?(笑

さて、問題は何故こんな早い時期にホンダがS500量産試作車のレンタルを始めたかです。
この頃、ホンダは特振法の絡みで四輪メーカーとしての実績を早く作りたいと考えていましたが、クローズドコースでのレンタルが四輪メーカーとしての実績に繋がるとはちょっと思えません。
とすると、マツダのコスモスポーツのように社外の人間に運転させてバグ出しとデータ取りを行なった?
それとも、レンタルした人の口コミによる宣伝効果を狙った?
うーん…、どれもあまり説得力のある推測ではないですね。

個人的に一番説得力があると思うのは、“S500の販売遅延に拠り生じる市場の不満を緩和するため”という推論です。
ホンダは当初、ホンダスポーツを '63年春に発売すると発表しましたが、その'63年春に発売に至らなかったことは周知の通り。

'63年4月28日付け朝日新聞の記事には「(前略)本田技研工業は、このほど四輪車部門へ本格的に進出するハラを固めた。(中略)七月から同じく水冷四気筒のスポーツカー二種(三百六十ccと五百cc)と五百ccの小型四輪トラックを発売する。」と書かれており、ホンダはこの時期に発売時期をアナウンスしたようですが、ここで発表された“7月”にもホンダスポーツは発売されませんでした。

'63年7月20日付け朝日新聞の記事には「本田技研工業は十九日、同社初めての四輪車『ホンダ・スポーツ五〇〇』の値段を四十五万九千円とし、十月から売出す、と発表した。」と書かれています。
現在一般に広まっているS500の'63年10月発売説は、この時の発表が固く信じられているものでしょう。
しかしながら、この“10月”にもホンダスポーツは発売されませんでした。

このように、ホンダは何度もホンダスポーツの発売を延期していました。
そうなると、ホンダスポーツの発売を心待ちにしていたホンダファン、あるいは一般のカーマニアやカーキチなどの購買予備軍が、ホンダに対して疑心を募らせたであろうことは明白です。
こういう場合、大きな期待を寄せていた(買う気満々だった)人ほど、大きな不満を抱いたでしょうね。

とはいえ、ホンダとしても売りたくても売れない状態だったから発売を延期した訳ですから、どうしようもありません。
しかしながら、ホンダとしては購買予備軍にソッポを向かれることは何としても避けたかったはずです。
そこで、S500量産試作車のレンタルを思いついたのではないでしょうか。

購買予備軍の人達も、S500を直ぐに購入することはできなくても、取敢えず実車に触れる機会が与えられれば、販売遅延による不満はかなり解消されるでしょうし、実際に運転することによってまたS500に期待を持つことが出来るはずです。
また、前述のようなバグ出しやデータ取り、口コミによる宣伝効果も期待できるでしょう。
S500量産試作車のレンタルは、一石なん鳥にもなる訳ですね。
それが故に、自動車ショーでの発表や発売前にS500量産試作車のレンタルを始めた。。。

まあ、これはあくまでも私見で、実際にどういう理由でS500量産試作車のレンタルが始められたのかは分かりませんが…。
でも、S500量産試作車がレンタルされていたという事実は、なかなか興味深いですね。
さすが型破りがお家芸のホンダ。やることが違います。^^;

尚、このエントリーに使用した画像は全てBOND様よりご提供頂きました。

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