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2008年4月 2日 (水)

ホンダスポーツ360の発売時期とライトバン、スポーツカーの試作車

○ホンダS360やT360/S500の試作車について研究・考察している「三妻自工 Web site」はこちらです。
○Web site that researches and considers the concept model of HONDA S360 and T360/S500 is here
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ホンダスポーツ360/500が初めて一般に公開されたのは、1962年に開催された第9回全日本自動車ショーにおいてでした。
この時ホンダは、スポーツ360/500を“来春発売”と発表しました。
このため、スポーツ360/500の発売を心待ちにしていたカーキチ(死語)が多かったようです。
これは一般のカーマニアに限った話ではありません。
当時の自動車誌などを見ると、業界関係者の間でもスポーツ360/500に対して非常に関心が高かったことが窺い知れます。
 
そんな世間の注目を一身に集めていたホンダスポーツ360/500ですが、500の方は’64年2月に発売に漕ぎつけたものの、360の方は衆人の期待を裏切り、ついぞ発売には至りませんでした。
その理由は諸説あるようですが、推測憶測ばかりで本当の理由は未詳のままです。
其れ故か、一部では“元々スポーツ360は販売する予定のなかったクルマ”などと言われているようです。

 
さて、そんな発売されなかったスポーツ360ですが、第9回全日本自動車ショーが終了して年が明けた後も量産計画は破棄されておらず、販売店に配布されたカタログには『今春発売予定です。』とハッキリ明記されていました。
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  (クリックで拡大表示/都合により画像の一部に加工を施しています)※この画像はBOND様よりご提供頂きました
記載された文言から、このカタログが配布されたのは '63年の冬(春前)で間違いないと思います。
 
少し時間が経過して'63年の4月。
第9回全日本自動車ショーやカタログで発表された“今春”にあたる時期ですが、この時にスポーツ360/500が発売されなかったのは周知の通り。
しかし、この時期にスポーツ360/500・T360/500の発売予定月が朝日新聞によって報道されていました。
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    (クリックで拡大表示)
ご覧のように、T360の発売が'63年5月スポーツ360/500・T500の発売が7月となっています。
この新聞記事から、'63年4月末の時点でスポーツ360の量産計画がまだ継続中であったと推測できると思います。
実際に、この頃から量産工場である浜松製作所において、スポーツ360の生産(量産のためのトレーニング)が始まっていたことは、「別冊CG ホンダ・スポーツ」に引用された浜松製作所の生産記録から明らかですから、朝日新聞の記事の信憑性は高いと言えるのではないでしょうか。
  
その後、いつスポーツ360の量産化が断念されたかは現時点では分かっていませんが、浜松製作所での生産が打ち切られた6月から、量産化を断念した旨をマスコミに公表した8月の間のいつかだと私は考えています。
 
さて、朝日新聞の記事には他にも注目すべき記述がありますね。
それは、「500ccのライトバンの試作車が出来上がっている」という部分と「来年中には千ccのスポーツカーを発表するようだ」という部分です。
 
'62年12月の時点で「AV-250」という機種コードを付与された軽バンの量産計画があったことと、「AS-290」という機種コードを付与された850cc のGTを開発をしていたことは、中村良夫さんが作成した『技研に於ける4輪開発の経過』という資料に記されています。
ですから、朝日新聞の記事が“飛ばし”である可能性は低そうです。
 
500ccのライトバンというのは、時期から考えて恐らくこのAV-250の排気量とボディサイズを拡大したものでしょう。
また、1,000ccのスポーツカーはAS-290を発展させたものと考えられそうですが、資料がないため確定的なことは書けません。
ただ、ASAK以外にライトバンとスポーツカー(或いはGTカー)の開発を行なっていたことは中村良夫さんが書き記していますから、紛れもない事実と言えるでしょう。

しかしながら、この事実は現在完全に忘れ去られており、歴史に埋没してまっているのが現状です。
開発に関わられた方のご苦労を考えると、何ともやりきれないですね。
まあ、市販に至らなかった試作車なんて人知れず消え去るのが宿命なのかもしれませんが…。
 
でも、だからといって無かったものとしてしまっては、歴史に空白を作ってしまうことになります。
それはいかんですね。
只そうは言っても、門外漢の私には忘れ去られた機種の資料を発掘することは出来ません。
唯一できるのは、こうしてその存在を知らしめることのみ。
しかし、悲しいかなここは過疎ブログなんですが…。orz

でも、微力ながらホンダ四輪史の空白を埋めるお手伝いは出来ているんじゃないかと、自画自賛しつつこの稿を締めくくりたいと思います。

   
 

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コメント

500㏄のライトバン、1000㏄のスポーツカーが発売されていたら日本の車の歴史も多少違っていたかと思うと不思議な感じがしますね^^

投稿: ebis rider | 2008年4月 6日 (日) 午後 02時18分

>ebis riderさん
コメントありがとうございます。
L700/800やエスの例を見ると、500ccのライトバンも1000ccのスポーツカーも商業的な成功は得られなかったんじゃないかと思いますが、日本の自動車史に名を残すクルマになったことは、きっと間違いないでしょうね。happy01

投稿: mizma_g@管理人 | 2008年4月 7日 (月) 午前 08時15分

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