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2008年1月22日 (火)

ホンダスポーツについて、最近分かったことと分からなくなったこと (後編)

○ホンダS360やT360/S500の試作車について研究・考察している「三妻自工 Web site」はこちらです。
○Web site that researches and considers the concept model of HONDA S360 and T360/S500 is
here.


まずは、Sports500について分ったことから。

第9回全日本自動車ショーに出展されたホンダスポーツのボディはアルミだった?

のっけからクエスチョンマーク付きで申し訳ないです…。
ただ、ちょっと見過ごせない情報と思ったので、ここに取り上げた次第です。
クエスチョンマークが付くということは未確定の情報ですので、その点、くれぐれも誤解なきようにお願いします。

で、この情報のソースは、昨年暮れに某ネットオークションで購入した「自動車Junior 1963年10月号」です。↓
080122_junior6310_
自動車Junior 1963年10月号より引用

赤線を引いた部分に“プロトタイプではアルミ材のパネルを使用していた”と書かれていますね。
ここでいう“プロトタイプ”とは、第9回全日本自動車ショーに出展された車輌のことです。
“パネル”とはエンジンフードやトランクフード、フェンダーやドアのアウターパネルなどの外板のことでしょうか?

これまで、ホンダが作成したものも含めて、第9回全日本自動車ショーについて書かれた資料を色々と見てきましたが、このようにボディにアルミが使われていたと書かれたものは、今回初めて見ました。
この情報が正しいか否かについては、現時点では確認をとれていないので何とも言えませんが、この記事を書いたライターさんが全く根拠もなく思いつきで書いたとは思えませんので、もしかしたら本当にアルミが用いられていたのかもしれません。

因みに、第9回全日本自動車ショーに出展されたスポーツ500の車重は530kg。
自動車Junior誌の記事は、’63年8月に荒川テストコースで行なわれたS500量産試作車の試乗会(OT誌が言うところの荒川試乗会)を取材したものなのですが、この時のプロトタイプの車重は675kgでした。
その差、実に145kg。
ショーに出展されたスポーツ500の車体寸法(全長×全幅×全高)は、2990mm×1295mm×1146mm でした。
一方、試乗に供されたS500量産試作車は、夫々3300mm×1400mm×1200mm。
全長の違いは、主に前後のバンパーの形状(寸法)の違いに拠るものなので、車重の増加は主に全幅が105mm拡大されことに起因していたと考えられます。

ここでもうひとつ、車重の比較をしてみましょう。
第9回全日本自動車ショーに出展されたスポーツ360とスポーツ500は、全長(リアオーバーハング)が205mm違う以外、ディメンジョンやメカニカルな部分の構成はほぼ共通でした。
この二車の車重はスポーツ360が510kgで、スポーツ500が530kg。
その差は僅か20kgでした。

フロントウインドウやダッシュボード、フレーム等々、多くの構成部品を拡幅したS500量産試作車と、中味空っぽのトランクルームとフレームの後端だけを延長したスポーツ500を単純に比較はできませんが、それでも145kgといえば体格のいい成人男性2人分の重量ですから、相当なウェイトアップだったことは間違いありません。
ちょっと電卓を叩いてみたら、なんと約27%の重量増です。
果たして、全幅を約10cm 拡げただけで、こんなに肥えてしまうものなのでしょうか。
排気量や車体サイズがアップした分、当然、補強なども加えられたのでしょうが…。

詳しいことはド素人の私にはよく分りませんが、でも外板がアルミから鋼鈑に変更されていたとなると、この重量増も何となく納得できる気がしないでもありません。

S500量産試作車のサイドブレーキはステッキ型!

これは、「別冊CG ホンダS2000」を見て初めて判ったことです。
080122_cg_s2000s500
別冊CG ホンダS2000より引用

この写真は、前述の荒川試乗会の会場で撮影されたものなのですが、ご覧のようにインパネの右下にステッキ型のサイドブレーキが付いています。
荒川試乗会の時点では、まだシフレバー横に移動されていなかったのですね。
他のホンダスポーツはどうだったのか、ちょっと気になったので調べてみたところ、FRPボディのスポーツ360(TAS260)からこの荒川試乗車(S500量産試作車)までは、全てステッキ型でした。

ラジオが付いたDX仕様のこの荒川試乗車は、試乗会の時まだ新車だったらしいので、少なくとも’63年8月頃までに製作された車輌は、全てステッキ型だったと考えられそうです。
ということは、現存しているAS 4号車もステッキ型なのでしょうね。
ちょっと変わったところでは、独逸語版カタログに使用された左ハンドル車(製作時期不明)もステッキ型のサイドブレーキでした。
080122_s500
   カタログより引用

とここで、ひとつ間違いに気が付いてしまいました。
それは何かというと、S500の最初期カタログに掲載されている↓この車内を撮影した写真。
080122_s500_
    カタログより引用

これまで、価格当てクイズの広告に掲載された↓この写真と同じものと考えていたのですが、ご覧のように片やレバー型、片やステッキ型と違うタイプのサイドブレーキが付いてます。
080122_50063
両車は明らかに別の車輌ですね。

サイトの方でS500最初期カタログの車内写真を、スポーツ360のシャシーを用いて製作された初期の’63年型スポーツ500のものとして使っているのですが、これは誤りでした…。
気づかなかったとはいえ、間違った情報を発信してしまい、大変申し訳ありませんでした。
サイトの方、近日中に修正しますので何卒ご容赦頂ければと思います…。

今度は、ちょっと分らなくなってしまったことです。

第9回全日本自動車ショーには、赤のスポーツ360も出展された?

これまで第9回全日本自動車ショーには、車体色が赤のスポーツ500が2台と、シルバーのスポーツ360が1台の合計3台が出展されたと思っていたのですが、1月10日のエントリー にアップした下掲の画像を見ていて、表題のような疑問が生じてしまいました。
080122_1962_12_  
モーターマガジン 1962年12月号より引用

上掲の画像から、何故 赤のスポーツ360が出展されていたのではないかと考えるに至ったかですが、まず上掲の画像に写っているラジオをよくご覧になってみて下さい。
このラジオは、パネルの外周にアルミもしくはメッキの縁取りがあって、パネルは黒地、選曲ボタンは白、左右のツマミの間にチューナーの窓があるのことが特徴です。
この特徴を持ったラジオが装着されていたのは、車体色が赤のスポーツ360だけでした。↓
080122_62hondasports_radio

そして上掲の車内画像は、モーターマガジン誌に↓このように掲載されていました。
080122_1962_12_02
モーターマガジン 1962年12月号より引用

同じページや隣のページに掲載されている写真は、全てショーの会場で撮影されたものです。
それ故、これまで車内を写した写真もショー出展車、すなわちシルバーのスポーツ360のものと思い込んでいたのですが、上述のようにそれは間違いでした。
ということは、この赤のスポーツ360の車内写真はどこで撮られたのだろう?と考えたわけです。
記事はショーを取材したものですから、ショーの会場で撮影されたと考えるのが一番自然だと思うのですが、でも、第9回全日本自動車ショーを取材した記事を片っ端から読み返しても、赤のスポーツ360が出展されたことを書いているものは一つもありません。
しかし、上掲のように写真はある。
それで、ちょっと分らなくなってしまったのです。

私を混乱させたのは、モーターマガジン誌の写真だけではありません。
先日購入した「別冊CG ホンダS2000」に掲載されている↓この写真も私に一撃を食らわせてくれました。
080122_cg_s2000s360red
別冊CG ホンダS200より引用

この写真もラジオの特徴から、赤のスポーツ360を写したものと判断できます。
こちらは背景に壁が見えますので、屋内で撮影されたものと思われます。
フロントウインドウ越しに写っている人との位置関係から、少し高い場所に置かれていることが分りますね。
ということは、ショーの会場なのでしょうか?
この写真だけでは場所の特定は難しいですが、屋内で赤のスポーツ360がお披露目されたことは間違いなさそうです。

もしかしたら、シルバーの個体と入れ替わりで赤の個体がショーに出展された日もあったのでしょうかね。
それとも、ショーの前後か或いはショーの期間中に、出展ブースとは別の場所で赤のスポーツ360がお披露目されたのでしょうか。
資料がないので詳しいことは分かりませんが、とにかく赤のスポーツ360も何らかの形でプレスに公開されていたようです。
何処で公開されたかは残念ながら分りません…。

ということで、この件について何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示頂けないでしょうか。
情報をお寄せ下さった方には、手持ちの資料を進呈致しますので、是非よろしくお願いします。
 

うーん…。
正直、ホンダスポーツの出展台数に関してはかなり自信があったのですが、それが実は間違いだったかもしれないとなると、さすがに凹みますね…。

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